私が何か作ったりするときに考えることで、「自分にとっての100点は、自分以外の人間にとっては50点未満」というのがあります。
常に心がけているわけではなく、好き勝手やっていることも多いですが。
人それぞれ面白いと思うものにはばらつきがあるので、自分がものすごく面白いと思うものは他人には受けない。
逆に、自分にとっては80点くらいかなーと思うもののほうが周りの受けはいいです。自分が予想もしていなかった部分を面白いと評価されるなんてことも少なくありません。
80点くらいのものを作れば、80点くらいで評価してくれる人がより多く獲得できる。結果、100点のものを一部の人に絶賛されるときよりも総合で獲得できる点数は多くなるわけです。
多くの人間にとって100点なものを作れるのがベストといえばベストなんですが、、、私にとっては理想論です。
話を『崖の上のポニョ』(以下、ポニョ)に戻します。
ポニョは駿先生にとっての100点だと思います。
駿先生と追求するものが合致した一部の人間にとっても100点。
しかし、大多数の人間にとってはせいぜい50〜60点くらいなんじゃないでしょうか。
これが、「芸術」として成功しているか否かで言えば、一部の人に高額で買ってもらえるものができたという意味で大成功だと思います。
でも、「エンターテインメント」として成功なのかといえば、答えはノーでしょう。
エンターテインメントはより多くの人間に比較的高い点数をつけられるべきものだと思うからです。
「何がいいたいのかよくわからなかった」「すっきりしない」とポニョを評す人が多いです。
これはそのまま、「作品を他人に伝えることに失敗している」ということに他なりません。(見に行く前に気づくべきだった)
つまり、ポニョは宮崎アニメの集大成であり最高の芸術作品ですが、エンタメとしては失敗作である。
これが私の客観的な感想です。